2019.02.04

  • 医療関係者向け

当院医師が日本循環器学会関東甲信越地方会Clinical Research Awardにて最優秀賞を受賞しました

受賞した産科部長の桂木

「肥大型心筋症女性の安全な妊娠と出産」テーマに最優秀賞
第251回日本循環器学会関東甲信越支部会が2019/2/2(土)に大手町にて、産科の桂木真司部長が当院多科協力による肥大型心筋センターとして臨床研究の報告を行い、“Clinical Research Award” 最優秀賞を授与されました。
当院は今後も研究と発表に注力する所存です。

研究の趣旨
 これまで閉塞性肥大型心筋症(HOCM)は左室流出路閉塞例では妊娠後期、分娩後に合併症発現が多く出産を回避されてきました。しかし多科協力による早期の適切な診断と、薬物ならびに中隔縮小治療により良好な状態への回復が可能であり、挙児希望を実現できることを報告しました。受診された肥大型心筋症の患者は、肥大型心筋症カンファレンスで相談され、出産希望の女性16名が循環器内科・心臓外科で治療した後に産科へ紹介、うち12名が妊娠されました。

 妊娠前に薬剤治療(12名)、中隔心筋切除術(7名)、中隔心筋焼灼術(1名)を行い、左室流出路圧較差は平均85mmHgから14mmHgに下がり、NYHAクラス分類もクラスⅡmからクラスⅠに改善しました。うち1名は流産され、1名は早産、10名が満期産で2500~3200gの元気な新生児が生まれました。11名中8名はビソプロロール内服を続け心不全を防止しましたが、薬剤の母児への副作用なく、さらに妊娠中の心合併症は妊娠37週で心拡大・一過性心房細動が1名、出産後に非持続性心室頻拍・心拡大が1名あり、いずれも利尿剤のみで軽快しました。危険とされる、圧較差>30mmHg以上の閉塞型肥大型心筋症も関連チームによる十分な検討と事前の治療、つまりβ遮断薬中心の薬物治療、さらに薬に不応な心不全症状へは中隔心筋切除術などの専門的外科的治療が奏功し、大多数が安全に満期出産を行えることを示しました。

山下尋史会会長から最優秀賞を授与
当院の肥大型心筋症検討会のメンバーと授与を祝す
左から高山、友池、桂木、高梨、磯部
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