こんにちは。子ども療養支援士の丸山里奈です。
私は入院してくるお子さんたちに、「病院に来る時、どんな気持ちだった?」と聞くことがあります。「えー?やだったよ。だって、注射とかされるじゃん」「毎日泣いてた。嫌すぎて。怖いんだもん…」
こんな声や、反対に、「病院でも遊べるから別に平気!」「注射も怖くないよ!」という声も聞こえてきます。
-子ども療養支援士とは
子ども療養支援士は、入院生活や治療に伴うストレスや不安を軽減し、どうしても受け身になりがちな医療の場で、子ども1人ひとりが主体的にその子らしく居られるように、お手伝いしています。具体的には、気持ちが発散できる遊びや成長発達に合わせた遊びを提供することや、検査や手術などの前に「これから何をするのか」「どうやったらできそうか」など年齢や発達に合わせた表現で一緒にお話ししながら考えたり、検査や手術に付き添ったりしています。
-子どもたちは、私の“先生”
私も幼い頃に入院経験があり、この仕事を志したのもその記憶からです。ですが、当院に来るお子さんたちのような心臓の検査や手術の経験はないので、その怖い気持ちや不安な気持ち、それでも頑張ろうとする気持ちなど、想像することはできても「理解する」ことはできません。
そんな時、私の“先生”になってくれたのが、これまでに出会ったたくさんの子どもたちでした。「この時こんな気持ちだったよ」「先生も看護師さんも優しかったから、全然怖くなかったよ」「お薬苦いんだよね、でもこうしたら飲めるよ!」「次(手術)やる子に大丈夫だよって言ってあげて」…。
先に治療を乗り越えた子からのメッセージを今目の前に居る子に繋げることで、その子が安心できたり、頑張れたりすることがたくさんありました。また、術後に笑顔が出なかった子が同じく入院している他の子と遊んでいる時に初めて笑えるようになったり、ご飯を食べられなくなった子が他の子を見てニコニコしながら食べられるようになったり…。
-子どもの力を応援する
子ども同士の力には私たち大人が勝てないものがあると感じます。そんな子どもたちの強い力を後ろからそっと応援できる存在でいられればと思い、日々病棟で働いています。
家族の誰かが入院するということは、本人やご両親をはじめとした家族、きょうだい皆さんにとって大変な時です。今後も医師・看護師をはじめ、さまざまな医療スタッフとともに、その大変な時を少しでも不安なく過ごせるようにお手伝いできればと思っています。