急性心筋梗塞に対するカテーテル治療や低侵襲の心臓外科手術の普及により、我が国においても入院期間の短縮化や効率化が急速に進んでいます。 一方、患者さんにとっては、退院した後の社会復帰のための具体的な方法や病気の再発を予防するための知識を身につけるための時間や努力が必要とされます。
当院では、創設者である榊原仟先生の先進的なコンセプトに基づき、国内でもいち早く心臓リハビリテーション(心臓リハビリ)の考えを取り入れ実践してきました。特に退院後の患者さんが参加する「通院による監視型運動療法」を中心とした包括的心臓リハビリは、1982年12月から始まり、既に40 年ほどの歴史があります。
当院では、心臓リハビリ用トレーニング室約200㎡と、これに隣接して健康増進施設約160㎡が併設されております。また外にはリハビリ庭園を造り、見た目にも心を和ますものであります。
心臓リハビリテーション室では、心血管疾患患者さんの運動耐容能改善、生活の質(QOL) 向上、再発予防、早期社会復帰をめざし、運動療法、生活習慣・疾病管理指導、心理相談等からなる、包括的心臓リハビリプログラムを提供しています。ここでは毎日沢山の患者さんが、生き生きと心臓リハビリに取り組んでいます。
心大血管疾患リハビリテーション料Ⅰ
心臓リハビリテーション研修施設(日本心臓リハビリテーション学会認定)
心臓リハビリテーション優良プログラム施設(日本心臓リハビリテーション学会認定)
運動型健康増進施設(厚生労働省認定)
指定運動療法施設(厚生労働省認定)
心臓リハビリとは、心臓血管病の患者さんが快適な家庭生活や社会生活に復帰をすることを目標に、体力を回復し自信を取り戻すとともに、再発や再入院を防止することをめざしておこなう包括的プログラムのことです。
急性心筋梗塞、心不全、心臓手術後などの患者さんは、心臓の働きが低下し、安静生活を続けたことによる身体機能や体の調節機能の低下が見られます。そのため、無事に退院できたからといって、退院後すぐに元の生活や活動はできません。また、「どのくらい活動しても大丈夫なのか?」といった疑問や動くことへの不安を持つ方もいらっしゃいます。さらに、心臓血管病の原因となる冠危険因子(糖尿病や脂質異常症)の是正や動脈硬化の進行を防ぐために、生活習慣の改善も重要です。
心臓リハビリでは、医師、看護師、理学療法士、薬剤師、管理栄養士、公認心理士、臨床検査技師、作業療法士、健康運動指導士などで構成されるチーム医療体制で、運動療法を中心とした患者教育(生活習慣や疾患管理)や心理相談(カウンセリング)などを行います。
心臓リハビリは入院から退院後の時期に応じて、急性期、前期回復期、後期回復期、維持期の4つの時期に分類されます(下図)。
急性期リハビリは病気の発症や手術で入院となり集中的な治療が行われる時期です。この時期は医学的治療と平行して座位・立位・歩行などの離床を始め、安静による運動機能の低下を予防することが目標になります。
回復期リハビリは急性期治療が終了し、一般病棟においてできるだけ早い日常生活活動(ADL)能力の再獲得を目標とする前期回復期と退院後の社会復帰へ向けた準備と新たな生活習慣の獲得を目標とする後期回復期に分類されます。特に後期回復期は積極的な運動療法の適応時期であり、心肺運動負荷試験 (CPX) 結果に基づく適切な運動処方を行うことが重要です。
維持期リハビリは、回復期で得た身体機能や運動耐容能、疾患管理能力を可能な限り維持・向上させることが目標となります。この時期は在宅や地域の運動施設を利用しての運動継続が主体となり、社会復帰後から生涯を通して、継続して行うことが重要です。
現在我が国で、心臓リハビリの保険適応となっているのは、以下7つの疾患群です。
また、保険適応期間は心臓リハビリ開始後150日間と決められています。
※入院中の患者さんで上記に当てはまらない場合であっても、主治医の指示に基づき適宜対応致しております。また、必要に応じて言語聴覚士や公認心理師の介入もしております。
※当院では「会費制」で行われる維持機心臓リハビリも実施しており、保険適応期間150日が過ぎた患者さんも継続して心臓リハビリを受けることができます。
理学療法士
堀 健太郎 リハビリテーション科 科長
看護師
石井 典子 看護部 師長
言語聴覚士
伊藤 純平
公認心理師
吉田 あずさ
その他
医師:9名 (非常勤含む)
理学療法士:18名
看護師:3名
公認心理師:1名 (非常勤)
健康運動指導士:1名(非常勤)
クラーク:2名
助手:2名
管理栄養士:3名
ソーシャルワーカー:1名
心リハ研究補助員:4名 (非常勤含む)
2021年10月1日現在
心臓リハビリ室では下記の臨床研究の実施・参加をしています。
当院の通院型心臓リハビリの流れ
快適な家庭生活や社会復帰をめざして!!
心臓リハビリに参加することにより、以下のことができるよう支援します。
心臓リハビリテーション室の公式Facebookページを開設しております。
日々の活動内容や皆様に役立つ情報を配信しています。
心臓リハビリテーション室では以下のような感染対策を実施し、患者さんが安心してリハビリに励んでいただけるよう環境を整えています
病院玄関、職員通用口に赤外線センサーを設置しています。
患者さん・職員ともに発熱、感冒症状などをチェックし、体調不良時は来院できません。入館時に発熱を赤外線センサーでチェックし、アルコール消毒をします。
また、リハビリ室受付にはアクリル板を設置しています。
患者さんと心臓リハビリスタッフは常にマスクを着用しています。 受付で問診を行い、患者さんが、発熱された場合、解熱後1週間は外来心臓リハビリをお休みしていただきます。スタッフは、軽微な症状で疑わしくない場合でも、COVID-19抗原検査陰性を確認後に業務につきます。心臓リハビリ室は常に外気により換気し、ロッカー内に空気清浄機を設置しています。
徹底した手洗い、アルコール消毒をしています 患者さんにはリハビリ室入室時や運動前後に手洗いや手指消毒をしていただきます。運動中もマスクを着用(状況によっては一時的に外します。
患者さんが使用した運動機器は運動後にスタッフがアルコール消毒をしています。)
運動をする患者間の距離を可能な限り離しています。
一度に行う患者数を減らし、外来・入院の患者さんの混在を避けています。