よくある質問

病気・検査・治療について

狭心症とはどんな病気ですか?
A:心臓の筋肉に酸素や栄養を送っている冠動脈という血管の内腔が、動脈硬化や血管のれんしゅく(けいれん)によって狭くなることで、一過性に心臓の筋肉が虚血(血流が不足すること)に陥る病気です。運動時に胸痛や胸部の不快感・息切れが出現し、安静や血管拡張薬(ニトログリセリンなど)の舌下投与により症状が軽減します。不安定狭心症という心筋梗塞へ進行する危険性が高い場合があるため、早期に検査や治療が必要です。症状が回復したとしても、早めに受診するようにしましょう。
心筋梗塞とはどんな病気ですか?
A:心臓の筋肉に酸素や栄養を送っている冠動脈という血管内に形成された、動脈硬化の原因となるプラーク(悪玉コレステロールの塊)が破裂し、その上に血栓(血の塊)が形成されることなどにより血管の内腔が閉塞することで、それより末梢の心臓の筋肉が壊死してしまう病気です。20分以上続く胸痛発作や背中やあごの痛み・冷や汗・呼吸困難などの症状が出現しますが、糖尿病の方や高齢者では胸痛が出現せず、心電図などの検査で初めて発見される場合もあります。心筋梗塞による胸痛はニトログリセリンなどの血管拡張薬による治療では不十分です。突然死や心不全へ進行する可能性があるため、早期に治療が必要ですので、症状を認めた際は直ちに救急車を呼び、受診しましょう。
心不全とはどんな病気ですか?
A:心筋梗塞や狭心症・弁膜症・不整脈・心筋症など様々な心臓の病気により、心臓の働きが低下し、症状の悪化や改善を繰り返すことで徐々に生命を縮めてしまう病気です。心臓のポンプ機能が低下することで全身に十分な血液を送れず、呼吸困難感や意識障害・疲れやすいなどの症状を認めます。血液の停滞も起こるため、手足のむくみや体重増加・横になると息苦しい(肺うっ血)・食欲不振などの症状も出現します。重症化を防ぐためには、医師の指示通り受診を継続する事や薬を正しく内服する事に加え、食生活などの生活習慣の改善や、適切な方法で運動を継続することが重要です。
心房細動とはどんな病気ですか?
A:心臓は左右の心房と左右の心室に分かれており、心房細動は心房という部屋に発生する不整脈の一つです。リズムが一時的に不規則になる発作性心房細動の頻度が徐々に増加し、慢性心房細動へ移行します。動悸や息切れ・めまいなどの症状が出現し、心不全へ進行する場合があります。また、心臓が不規則に痙攣(けいれん)することで血栓が発生することがあり、その血栓が脳梗塞の原因となることがあるため、抗凝固薬というお薬を使用します。治療方法としては薬物療法、カテーテルで不整脈を発生させる電気回路を遮断するアブレーション治療、心臓に電流を流してリズムを整える電気的除細動があります。
大動脈解離とはどんな病気ですか?
A:動脈硬化により弱くなった大動脈の内膜が破れ、そこへ血液が進入することで内膜が2層に解離してしまう病気です。ほとんどの場合、前兆無く突然に背部や胸腹部の激痛が出現します。発症後、短時間で死亡率が上昇していくため、今まで経験したことのない胸背部の激痛は、救急車を呼び受診することをお勧めします。心臓近くの血管に解離が起こっている場合、ほとんどが緊急手術となりますが、治療後も経過が不良な場合が多く、非常に死亡率の高い病気です。冬場に多く、重たいものを持ち上げる際や起き上がり動作時・排便時・緊張などのストレスにより血圧が急上昇することで解離が進行する危険性があります。治療後の日常生活においては、禁煙・血圧のコントロール・食生活の改善・寒さ対策・十分な睡眠などの管理が必要となります。また、原因として考えられている肥満・高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病の改善や適切な運動習慣の獲得は、大動脈解離に合併症しやすい冠動脈疾患を予防することにつながります。
心臓カテーテル検査とはどういった検査ですか?
A:心臓カテーテル検査の一つである冠動脈造影検査は、狭心症や心筋梗塞の診断を行うための重要な検査です。足の付け根や腕の血管からカテーテルを挿入し、心臓を栄養している冠動脈という血管に造影剤を注入したのち、X線撮影で閉塞している血管の部位を確認する検査です。他にも首の静脈から風船付きのカテーテルを挿入し、風船を膨らませたりすぼめたりして肺の血管圧や心臓の機能を確認するスワンガンツカテーテル検査、複数の電極のついたカテーテルを挿入し不整脈の原因などを調べる心臓電気生理学的検査があります。
心臓血管外科の手術はどこを切りますか?
A:心臓の手術は主に胸骨正中切開と側方開胸術、お腹の血管の手術は開腹手術と呼ばれる方法で行われます。胸骨正中切開は胸の中心にあるネクタイのような胸骨という骨を縦に切開して行う方法です。手術後骨はワイヤーで固定しますが、癒合に3ヶ月ほどかかるため、その間、上半身をねじる動きや重たいものを持つことなど、骨の癒合を妨げるような動作を控える必要があります。胸骨を切開しない側方開胸術は肋骨の間の筋肉を切開する方法です。疾患によっては7㎝程の小さな傷口で行う低侵襲心臓手術(MICS)という方法もあります。開腹手術はお腹の中央にある腹筋を縦に切る方法です。

【小児の心臓病について】

先天性心疾患とはどんな病気ですか?
A:先天性心疾患とは、赤ちゃんが生まれるまでの間に、心臓や血管の形に異常をきたし、その働きに障害が起きる状態です。100人に1人の割合で発症するといわれていますが、学校検診等で指摘されるまでまったく自覚症状のない方から、早急に治療が必要な方まで、その重症度は人によって異なります。また、一度の手術で完治が可能なものから、複数回の手術を繰り返す必要のあるものまでさまざまです。
小児の予防接種を受けても大丈夫ですか?
A:心臓病の基礎疾患がある場合、基本的には予防接種を積極的に進めていただきたいと思います。しかし、手術の前後など、場合によってはワクチンを推奨しない時期もあり、個別の対応となりますので、かかりつけの医師にご相談ください。
学校へ入学・進学する際はどのように心臓病の事を伝えたらよいでしょうか?
A:小学校入学前年度には就学時健診があります。また、各自治体の就学相談窓口にて相談をすることが出来ます。運動については、主治医が作成する【学校生活管理指導表】という書類で共有する方法があります。校外学習中や進学・就職などで一人暮らしをする場合など、一人で急遽受診する場合を想定し、お子さん自身がどこでどのような手術を受けたか、どのようなお薬を飲んでいるか等、病気の概要を簡単に説明できるように普段から練習しておくことや、病気の内容を理解できるような関わり方が大切です。
小児期に心臓の手術を受けて定期的に診察を受けていました。学業やバイトが忙しいため、診察を中断または遅らせても良いでしょうか?
A:小児期の心臓の手術には体の成長や症状に合わせて追加の治療(手術や内服薬)が必要になる場合があります。適切な追加治療の時期を判断するために、また、経時的な問題点の出現を確認するために、医師の指示通り定期的に受診することが望ましいです。
先天性の心臓病があります。就職に影響しますか?
A:先天性心疾患を持つ方でも、一般の方と同じように就職している方は多くおられます。しかし、職場の方の理解が得られにくいことや、慣れない業務で体調を崩してしまう場合があります。身障者手帳を持っている場合は、障がい者枠で就職することや就労移行支援・就労継続支援が利用できる出来る場合があります。障がい者手帳をお持ちでない方でも難病指定されている場合は、就労支援を受ける事ができる場合があります。どちらの場合もハローワークにて相談窓口が設置されています。また、障がい者のための合同面接会やセミナーを活用し、マッチングする企業を探すことも重要です。
先天性疾患患児をもつ家族のサポートはありますか?
A:心臓のご病気をもつお子さんのご家族には、都道府県や市町村によって公的なサポートが得られます。市町村役所の福祉係にも相談窓口があり、当院では社会福祉士が対応いたしますので、まずはご相談ください。

【妊娠・出産・女性特有の症状について】

心臓の病気があっても出産できますか?
A:妊娠出産時に起こる身体の変化、特に血行動態の変化とそれに対する順応は女性の一生涯に起こる身体の変化としてはもっとも急激で大きなものです。妊娠中のお母さんの血液量は著しく増加します。これはお腹の中の赤ちゃんへの酸素供給を安定して行う点では大切な変化ですが、心臓の病気を持つお母さんにとっては心臓への負担になります。心臓が対応しきれなくなると、お母さんに心血管合併症が生じ、妊娠を継続出来なくなる可能性があります。
心臓の病気をもつ女性は、安全な妊娠・出産を目指すために、妊娠される前に、カウンセリングを受けていただくことをお勧めします。心臓の病気の重症度によっては、妊娠をお勧めできない場合や避けた方がよい場合、また適応となる心臓の治療を妊娠前に受けて頂くことをお勧めする場合もあります。ご自身で思い込んだり、悩んだりせずに、カウンセリングを受けられることをお勧めします。心臓の病気をもつ女性に対して「妊娠前カウンセリング(プレコンセプション)」外来のある病院が全国にはいくつかあります。当院にも「妊娠前カウンセリング外来」を開設しています。
「妊娠前カウンセリング(プレコンセプションカウンセリング)」とは何ですか?
A:心臓の病気をもつ女性の中には、妊娠により健康上に重篤な問題を生じ妊娠継続が困難となり、妊娠を終わらせなければならない状況になる場合があります。そのような状況においては、女性にとって身体的な負担だけでなく、精神的にもショックは大きく、長期的な影響を及ぼす可能性があります。心臓の病気をもつ女性に対する「妊娠前カウンセリング(プレコンセプションカウンセリング)」では、妊娠・出産による身体の生理的な変化についてお話しします。その後、カウンセリングに来られた方の心臓の状態により、予測される妊娠中や出産時における心臓や血管の変化についてお話します。また心臓病の薬を服用されている方は、妊娠中にも服用できる薬であるかの確認や、お腹の赤ちゃんへの影響などについてもお話しします。
妊娠・出産、そして出産後の育児も含めたサポート体制の必要性についてもお話ししています。こうしたカウンセリングを通じて、女性とパートナー、家族が十分に理解した上で、その方が自らの意思で妊娠を望むか/望まないかの選択をする機会になることを願っています。妊娠を望まない選択をされた場合にも、避妊方法に関する情報をお伝えしています。
「妊娠前カウンセリング(プレコンセプションカウンセリング)」にはいつ行ったらいいですか?
A:将来、妊娠を考えている女性だけでなく、いつか妊娠について考えるすべての女性にとって大切なカウンセリングであると考えています。カウンセリングを受け、妊娠前にご自身の身体やこころについて理解し、今ある日々の生活や健康に目を向けて向き合うことは、将来の妊娠・出産を健康に乗り切ることや、生まれてくる赤ちゃんの健康にも深く関わってきます。
また、将来、妊娠しない場合においても、今の生活や健康に目を向けることで、将来の健康につながります。それぞれのライフステージの中で、どのタイミングでもカウンセリングを受けて頂くことができます。個人個人のタイミングによって話す内容や重みづけ等は変わってくると思います。そして、カウンセリングは何度受けて頂いても構いません。心臓の病気の状態に変化があったり、服用されている薬が変わっていたり、またカウンセリング側で新たな知見が加われば、初回のカウンセリングの内容からアップデートされる可能性もあります。
具体的に妊娠を考えていないタイミングにおいては、生活習慣、ワクチン接種、さらに月経の状態について、また個々の生活環境や性格などを十分に配慮し、性感染症予防や避妊する方法についてのカウンセリングを行うこともあります。
ここでの「健康」とは、病気ではないとか、弱っていないということでなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会HPより)
子どもの時に心臓の手術を受けました。高校生まで通院していましたが、もう通院しなくて大丈夫と担当医師から言われて、今は通院していません。妊娠出産の際に、何か気をつけることはあるのでしょうか?
A:心臓病をもつ女性の多くが、妊娠・出産において大きな合併症なく経過されます。しかし、妊娠・出産は妊娠前の日常生活とは異なり、特に心臓に対してはダイナミックな変化が起こり、負担が大きくなります。妊娠前カウンセリング(プレコンセプションカウンセリング)を受けることで、ご自身の心臓の状態を知り、妊娠・出産による身体の変化に対して理解し、妊娠に臨むことで、安心・安全な妊娠・出産を目指せると考えています。
子どもに心臓の病気が遺伝しないでしょうか?
A:日本においては、生まれつき心臓の病気をもつ赤ちゃんが生まれる頻度は約1%です。その成因についてみてみると、大部分が成因不明の多因子遺伝です。
お母さんが生まれつき心臓の病気(先天性心疾患)をもつ場合、生まれてくる子どもが心臓の病気をもつ頻度は3~5%と報告されています。また、遺伝形式が明らかになっている疾患(マルファン症候群やQT延長症候群など)もあります。
心臓の病気があり、循環器の医師から薬を処方されています。妊娠した時にお腹の赤ちゃんへの影響が心配です。
A:心臓病をもつ女性では、妊娠前から、妊娠した場合に服用されている薬をどうするか計画を立てておくことが大切です。妊娠した時に薬剤を使用する場合は、お母さんとお腹の中の赤ちゃんの双方にとっての有効性とリスクのバランスを妊娠中の各時期に応じて考慮していく必要があります。
安全な管理のために必要な薬剤を自己判断で中止することは、お母さんとお腹の赤ちゃんにとって悪影響となる可能性が大きいです。その一方で、お腹の赤ちゃんに対する薬の影響をお母さんは不安に思うこともあると思います。そのために、妊娠前から、妊娠した場合に赤ちゃんへの影響や、影響がある場合に休薬または別の薬剤への代替可能かどうかを踏まえ、十分なカウンセリングを受けて頂くことが大切です。また、現時点では、添付文書上、妊婦さんへの投与が禁忌となっている薬剤でも使用経験上、妊娠中に使用しても安全性が高いと報告されている薬剤もあります。妊娠中に使用しにくい薬剤もあり、こういった薬剤に関しては、カウンセリングの中で妊娠前に計画をたてておくことが必要です。
また、国立成育医療センターに設置されている「妊娠と薬情報センター」には、妊娠中だけでなく、妊娠前から患者さんである女性自身が相談を申し込むことができます。
月経の痛みが強いのですが、毎回鎮痛剤を飲んでも大丈夫ですか?
A:月経は、排卵後に子宮内膜が厚くなり、受精しなかった場合に、その子宮内膜が剥がれ落ちることで起こりますが、この時に子宮が収縮することなどで疼痛が生じると言われています。
月経時の鎮痛剤としては、一般に痛みの物質であるプロスタグランジンを抑制する非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)が選択されますが、月経痛で日常生活の活動が落ちることは望ましくありませんので、痛みそうであれば内服するようにしましょう。NSAIDsは腎機能を悪くすることがありますので、腎臓が悪い人は他の薬剤が処方されます。出血量が多い、痛みが強い場合などは婦人科疾患が隠れていることがありますので、一度産婦人科にご相談ください。
婦人科疾患があっても、スポーツをしていいですか?
A:スポーツへの障害として月経随伴症状(月経前や月経中の不快な症状)が挙げられます。このような場合、ホルモン療法で解決できることがありますのでご相談ください。また女性アスリートの問題として、貧血、無月経、エネルギー不足、低エストロゲン血症による骨粗鬆症(骨量が減って骨が弱くなり骨折しやすくなる状態)などが挙げられます。このような場合も治療でよくなることがあるので、ご相談ください。
心臓の病気があってもピルを飲んでよいですか?
A:ピル(エストロゲン・プロゲスチン配合薬)は血栓(血管の中にできる血の塊)が若干できやすくなる傾向があり、肺血栓塞栓症*の原因となる場合もありますので、主治医とよくご相談してご使用ください。ピル内服中に胸痛や下肢の痛み・腫れが出た場合は、病院にご相談ください。また、心房中隔欠損症の患者さんは、血栓が脳へ移動し、脳梗塞になることがありますので十分にご注意ください。
以下の女性においてはエストロゲンを含むピルは血栓症のリスクが高く使用には注意を要する、もしくは使用禁忌となりますので、担当医もしくは産婦人科医に相談してください。

  • 機械弁置換術後、虚血性心疾患、すべての肺高血圧、拡張型心筋症、
  • 心機能低下例(左室駆出率<30%)、フォンタン術後女性、チアノーゼ性心疾患、
  • 肺動静脈奇形など

*肺血栓塞栓症とは、肺の血管に血の塊(血栓)が詰まって、突然、呼吸困難や胸痛、時には心停止をきたす危険な病気のことです。

【療養生活・リハビリテーションについて】

心臓手術後に運転はできますか?
A:正中切開手術を受けた方(胸の中央を切開した手術)は、胸骨が完治するまで約3ヶ月かかります。一般的には手術後1ヶ月程度から運転は可能ですが、事故や急ブレーキなどの衝撃で骨がずれる可能性があります。やむを得ない場合のみの運転に留めてください。低侵襲心臓手術(MICS)を受けた方の場合は、傷による活動制限はありませんが、体力の回復には個人差があります。退院後の運転の開始は主治医に相談した上で行いましょう。不整脈やペースメーカー治療をされた方は、道路交通法で運転が禁止されている期間がある場合がありますので主治医へ確認しましょう。
お酒は飲んでも良いですか?
A:アルコール性心筋症と診断された方の場合、飲酒は禁忌になります。また不整脈を誘発する可能性があるのでお勧めできない方もいます。量や頻度など主治医と相談しましょう。
一般的にはアルコールは血圧の変動や中性脂肪の上昇を招くため、過度な飲酒は心臓病の悪化のリスクとなります。飲酒をする際は週に2〜3日の休肝日を設けること、純アルコール量の摂取量が1日20g以下になるように心がけましょう。おおよその目安としては、ビール500ml、日本酒180ml、ワイン200ml、ウイスキー60ml、焼酎90mlです。アルコールの適量範囲の計算は下記を参考にしてください。
また、おつまみは脂質の多いものや塩分が濃いものは避けましょう。

※アルコールの適量範囲
お酒の量(ml)×アルコール度数/100×0.8(アルコールの比重)=純アルコール量(g)

心臓病のあとはいつから仕事をしてもよいですか?
A:いつから、どのように仕事に復帰するかは、その仕事の量や内容、通勤時間、通勤手段などを考慮する必要があります。心臓病と仕事を両立するためにご自身の体に合った方法が必要です。主治医や職場の産業医とよく相談しましょう。国からの支援制度もありますので、社会福祉士に相談するのもよいでしょう。
旅行に行っても良いですか?
A:旅行は普段の生活と違い、食事時間や活動量が異なります。また、ツアーなどを利用される場合は他人のペースに合わせてしまうと負担が大きくなる可能性があります。どの程度の旅行であれば可能であるか主治医と相談し、無理のないスケジュールを組みましょう。
海外旅行については緊急時に現地で医療を受けることに備えて【旅行用英文診断書】を持参することをお勧めいたします。ただし、平地での歩行で息切れなどの症状が出る方にはお勧めできません。冠婚葬祭などで遠方に行く必要がある場合などは主治医とよく相談してください。
飛行機に乗っても良いですか?
A:心臓の状態や治療状況によって判断が必要です。平地での歩行で息切れ症状が出る方にはお勧めできません。事前に主治医に確認しましょう。
飛行機を使用する場合は航空会社によっては診断書が求められる場合がありますので、事前に確認しておくとよいでしょう。また、事前予約で減塩食などの特別食を提供する航空会社もありますので活用するのもよいでしょう。
薬を飲み忘れた時はどうしたら良いですか?
A:飲み忘れに気がついたときに飲みましょう。ただし、1日の中で同じ薬を分けて飲んでいる場合や食事と関連がある薬の場合は特に注意が必要です。次の服薬時間が近い場合は忘れた薬は内服せず、次の内服分から服用してください。飲み忘れたからといってまとめて内服することは危険です。迷う場合は主治医に連絡し、対処方法を確認しましょう。飲み忘れる事が度々ある場合は、ピルケースやお薬カレンダーの活用をお勧めします。また、かかりつけ薬局に薬の管理方法を相談するのもよいでしょう。
薬はいつまで飲み続けるのですか?
A:心大血管疾患における内服は予防的かつ心保護作用を期待して行なっていることもあり、生涯飲み続けていただきたいお薬もあります。内服の中断が心臓病の再発につながる恐れもありますので、自身で判断せず主治医に確認することをお勧めします。
健康食品を利用しても良いですか?
A:健康食品に含まれる成分によっては、内服されている薬の作用を阻害してしまう可能性があります。健康食品のご利用を希望される場合は、その健康食品の成分表をご用意の上、主治医または、かかりつけ薬局に相談しましょう。
いつまで血圧や体重の測定を続けるのですか?
A:ご自身の体の状態の把握や適切な内服治療を行うために、家庭で測定する血圧・脈拍・体重の値はとても重要です。異常を早期に発見し、早期に受診行動がとれることが病気の悪化の予防となりなりますので、習慣化し生涯にわたり継続していきましょう。
お風呂に入る際の注意事項はありますか?
A:水圧、水温による血流変化を生じる可能性があります。一般的には38-40℃、10分以内の半身浴またはシャワー浴が推奨されます。前屈みになる姿勢は負荷になります。脱水予防として入浴前後に水分補給が必要です。手術後の患者さんは抜糸2日後から入浴可能であることが多いです。
性生活は可能ですか?
A:通常の日常生活(2.8Mets以上)が送れていればパートナーとの性行為は問題ありません。しかし、過度に興奮を招く行為は、過度に血圧や心拍数の上昇を招くので危険です。また、バイアグラなどの薬剤の使用は、主治医に相談しましょう。
心臓リハビリテーションとは何ですか?
A:心臓リハビリテーションとは、有酸素トレーニングやレジスタンストレーニング(筋力トレーニング)などの運動療法を中心に、患者教育やカウンセリングなどを包括的に行うことで心血管疾患の再発予防を目指すプログラムのことです。生活の質(QOL)や長期予後の改善、心血管疾患の予防を目指すという概念も含まれ、病気の発症直後の急性期から退院後の生活期に至るまで、生涯にわたる継続的なプログラムになります。
心臓リハビリテーションはどこで受けられますか?
A:ご自身のかかりつけ医で受けられるかどうか、対象となるかなど、主治医や医療スタッフに確認してみましょう。心臓リハビリテーションが受けられる施設は、日本心臓リハビリテーション学会のホームページでも公開されています。(施設によって実施形態が異なる場合がありますので確認が必要です。)また、心臓リハビリテーションは開始から150日間は健康保険が適用されます。それ以降については主治医に確認してください。
心臓病後の運動はどのようにしたらよいですか?
A:運動の種類は有酸素運動(ウォーキングや自転車こぎなど)が推奨されています。運動の強さは体が「楽である〜ややきつい」と感じる程度で、誰かと会話をしながらでも続けられる程度です。ウォーキングであれば歩く速さの調整などで運動の強さを調整します。運動の時間や頻度は、30〜60分程度の運動を週3〜5回程度が推奨されていますが、今まで運動習慣が全くない方であればまずは短時間(20分程度)で週1、2回程度から始めてみてください。
一方で、上記の内容は一般的に推奨されている内容のためすべての患者さんに当てはまるものではありません。心臓の状態や手術の内容によっては適切な運動内容も変わってきます。かかりつけの先生や手術をした病院で「心肺運動負荷試験」や「心臓リハビリテーション」を実施しているようであれば、ご自身の状態にあった適切な運動強度の設定(運動処方)が可能ですので一度相談して頂くことをお勧めします。
運動するときに気を付ける事はありますか?
A:安全に運動を行うために、以下の点について気を付けましょう。

  • 運動前後に血圧、脈拍を測定し、水分補給を行う
  • 運動しやすい服装や靴を着用する
  • 夏場は涼しい時間帯、冬場は温かい時間帯に行う
  • 急激な心臓への負荷を避けるため、ストレッチや軽い体操などの準備体操と整理体操を行う

胸痛や息切れ、だるさ、体重増加(3日間で2kg)、睡眠不足等の自覚症状がある場合は心臓病が悪化している可能性があるため、運動を控え、かかりつけ医を受診することをお勧めします。

ペースメーカー植え込み後はどのようなことに注意すればよいですか?
A:以下の項目に注意しましょう。

  1. 運動について
    器質的な心臓病の合併症が無ければ、身体活動において特別な制限はありませんが、退院後1~2ヶ月は手術した方の腕を大きく動かしたり、背伸びをしたりするのは控えましょう。手術した方の腕を激しく動かすスポーツは3ヶ月後から可能です。但し、体同士が接触したり、皮膚を損傷したりする可能性のあるスポーツの実施は注意が必要です。
  2. 家電製品について
    ほとんどの家電製品は、通常の使用方法であれば影響を与える事はないと言われています。一部のIH炊飯器や電磁調理器、全自動麻雀卓などは使用することで影響が出る場合があります。
  3. 医療機器について
    MRIやX線、X線CT等はペースメーカーへ影響を及ぼす場合があります。医療機関を受診する際は必ず、ペースメーカーが入っていることをお伝えください。また、お店の入り口などにある電子商品監視機器は電磁波がペースメーカー作動に影響を与える場合があります。
  4. 旅行について
    飛行機を利用する場合は、空港にて磁場が発生する金属探知機を使用する場合があるため。ゲートを通る際にペースメーカー手帳を提示し、ボディチェックで依頼する事が望ましいです。また、旅行先で受診する必要が出てきた場合を想定し、病院検索や情報提供書など準備しておくことが望ましいです。
  5. 運転について
    失神の有無などで運転に制限が出てくる場合があります。主治医へ確認しましょう。

【各種制度について】

身体障害者手帳(心臓機能障害)がもらえるのはどのような場合ですか?
A:一般的には以下のとおりです。

  1. 弁置換、弁移植した場合は1級に認定
  2. ペースメーカー、ICDを植込んだ場合は、機器への依存度や日常生活活動制限の程度に応じて1級、3級、4級のいずれかに認定となります。3年以内に再認定を行うこととなり、そのとき等級が見直されることがあります。
  3. 先天性心疾患でペースメーカー、体内植込み型除細動器(ICD)を植込んだ場合は1級
  4. ※①~③以外の心機能障害は、治療を続けてきたものの、症状が完全に改善せず、それ以上の治療効果が期待できなくなった状態(障害固定)になったときの状態が身体障害者認定基準に該当する場合に認定を受けることができます。障害固定とみなされる期間は一般的には6ヶ月程度ですが、病気によって異なる場合がありますので主治医や相談員にご相談になることをお勧めします。各市町村の障害福祉課などが申請窓口になります。

 

高額療養費制度について教えてください。
A:高額療養費制度とは、医療機関の窓口で支払った額(※)が、ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。
※入院時の食事負担や差額ベッド代等は含みません。
上限額は、年齢や所得によって異なり超えた分の申請は『高額療養費申請』と『限度額適用認定証』の2種類の手続方法があり、どちらを利用しても、最終的な負担金額に違いはありません。

  • 『高額療養費申請』 ⇒医療機関の窓口で一部負担金を支払った後、加入されている健康保険へ申請をして差額(高額療養費)の払い戻しを受ける方法
  • 『限度額適用認定証』⇒加入されている健康保険へ交付申請を行い(限度額適用認定証)、医療機関の窓口で自己負担限度額を支払う方法

当院ではオンライン資格確認システムが導入されているため、ご本人が同意しシステムで適用区分の確認ができれば、『限度額適用認定証』の交付申請が不要となります。

【当院受診について】

初診申し込みの方法を教えてください。
A:榊原記念病院は原則紹介予約制です。

  • かかりつけ医療機関からの診療情報提供書(紹介状)をご用意ください。
  • 予約申し込みは、WEB(ホームページ)または専用電話にてお受けしております。
    予約受付時間 平日:月~金 9:00~16:00 専用電話0570-04-5489
  • 医療機関からの診療情報提供書をお持ちでない場合は、診察にかかる料金のほかに別途選定療養費(7700円)がかかります(費用は変更されることがあります)。
  • 希望される診療によって専門医の予約をお取りするために、診療情報提供書の事前郵送をお願いすることがあります。

※産婦人科につきましては、健診やワクチンなどそれぞれのご案内がありますのでまずはWEBからご連絡、お申し込みください。
※ご不明な点は予約専用電話にてご相談くださいますようお願い申し上げます。
※海外から診療を受けるために来られる方(医療渡航)は、ホームページ「医療渡航の方」をご確認のうえ指定の申込み先にご連絡、ご相談ください。
※日本語がお話になれない方、日本語での医療に関する説明のご理解が難しい方
 国内・国外在住に関わらず、本人の意思確認が必要な場面では家族・知人以外の医療通訳の利用をお願いしています。

選定療養費(初診時・再診時)について教えてください。
A:病院と診療所の機能分担の推進を図るために国が定めた制度となります。
当院は、地域医療の向上を図るために「かかりつけ医」を支援する地域支援病院です。地域支援病院では、紹介状を持たずに初診で受診される場合(初診時選定療養費)、または病状が安定し当院がかかりつけ医への紹介を申し出ても引き続き当院を受診される場合(再診時選定療養費)に診療費とは別に選定療養費をご負担いただくことが義務付けられています。
初診時の受付時間と持ち物を教えてください。
A:受付は予約時間の30分前か60分前を予約時にご案内します。(診察前に検査をお願いすることがあります。)当日は、保険証(マイナンバーカード)、診療情報提供書、そのほかお持ちの方は各種医療券、おくすり手帳、ペースメーカー手帳、小児科受診の場合は母子手帳などをお持ちください。
再診予約の方法を教えてください。
A:前回外来時に次回外来の約束を医師とされている方は、再診の予約をお取りすることができます。当院に受診歴がおありの方でも、終診となっている方や、医師が指示した再診の時期を過ぎている方、また患者さんの事情で前回受診から1年6ヶ月以上経過している方は、原則として初診扱いにて選定療養費の対象となりますので、かかりつけ医の診療情報提供書のご用意をお願いすることがあります。電話、WEBでの再診予約、予約変更はご希望の4ヶ月前からお受けいたします。
予約の変更はできますか?
A:予約変更は、診察枠や検査枠が大変混雑しておりますので、ご相談はお受けいたしますがご希望に沿えないことがあります。できるだけご予約通りお越しくださいますようお願いいたします。
救急で受診をしたいときの連絡方法を教えてください。
A:病院の代表「042-314-3111」に電話で連絡してください。救急は24時間365日ご相談を受け付けております。「症状があるのですぐに診てほしい」ことをお話しください。医療者(看護師・医師)につながり、ご症状の相談ができます。ご状態によっては後日の外来予約をお勧めすることがあります。
セカンドオピニオン外来申し込みの方法を教えてください。
A:セカンドオピニオン外来は、現在診療をお受けになっている医療機関からの診療情報をもとに当院の意見をご説明します。患者さんご自身が、これからどのような治療をお受けになるかをお決めになるために参考となるよう、それぞれのご病気、治療に関する専門医が外来を担当いたします。セカンドオピニオン外来は診察や検査は行わないこと、健康保険対象外の自費診療となりますことをあらかじめご了承ください。
お申し込みやご相談は外来予約担当者が承りますのでWEB予約または専用電話にてご連絡ください。
何歳まで小児科で診察を受けられますか?
A:年齢で診療科を区切ることはしていません。先天性心疾患の場合、病気の経過や内容によって個々に対応しています。複雑心疾患など小児科が成人期になっても診療を継続することもありますし、成人期の問題がより主体となった場合には内科への診療に移行しています。当院では成人先天性心疾患センターを設け、成人期への移行診療が円滑に行えるよう、小児循環器科、循環器内科、小児心臓血管外科、心臓血管外科、産婦人科と、各科が協力しあって対応できるようにしています。当院は循環器専門病院であるため、心臓以外の問題で専門科の診療が必要な場合には、他病院に紹介し相談することが必要になることもあります。
心臓以外の小児疾患も診察してくれますか?
A:当院は循環器専門病院であり、心臓病の診療を行っています。心臓以外の専門的な小児疾患の場合、より適切な診療ができるように他の医療機関をご紹介することがあります。また、 発熱などの感染性疾患は、心臓病の患者さまへの伝染を抑える必要があり、一般外来は設けておりません。心臓病のご病気のある方は、適宜ご連絡ご相談ください。
発達障害と言われましたが、診察してもらえますか?
A:当院は循環器専門病院のため、当院独自で発達についての診療や療育を行うことはできませんが、心疾患に伴う発達障害については、公認心理士による発達検査などを行い、療育機関をご紹介するなど、ご相談に応じています。
兄弟の小さい子と一緒に来院しても大丈夫ですか?
A:ご兄弟も外来にいっしょにいらしていただいてお待ちいただいても大丈夫です。ただ、発熱や、咳、鼻汁、下痢、嘔吐など体調の悪いお子さんの場合には、控えていただくようお願いしております。入院の場合は、感染対策上、ご兄弟の病棟への立ち入りはご遠慮していただいております。

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東京 脳卒中・心臓病等総合支援センター「心臓病総合相談窓口」