今回は、榊原記念病院の産科病棟で助産師として働く、永嶋 輝子さんです。ご自身が先天性心疾患を持って生まれ、疾患とともに生活してこられたことが助産師という職業を選択するきっかけになったと語る永嶋さんに、ご自身の病気のこと、仕事のやりがい、みなさんへの応援メッセージについてうかがいました。
Q.自己紹介をお願いいたします。
永嶋 輝子です。ファロー四徴症という先天性心疾患で生まれ、6歳で手術を受けました。現在は助産師として、榊原記念病院で働いています。
Q.ご自身の病気についてと受けた手術について、教えてください。
病名は、【ファロー四徴症】です。心室を左右に分ける心室中隔という壁に穴があり、通常は左心室からでているはずの大動脈が左右の心室にまたがっており、右心室から肺へ血液を送る肺動脈の右室との接続部分が狭いために、通常、左心室よりも右心室の壁(筋肉)は薄い構造なのですが右心室の壁が厚くなるという生まれつきの心臓病です。6歳の時に、パッチという医療用の布を使って心室中隔の穴を閉じ、心室を左右に分ける心内修復術という手術を受けました。
Q.病気のことは、周囲の方にどのように伝えてますか?
ファロー四徴症で手術をしていること、年に数回は定期検診を受けていることを職場に伝えています。また、体の負担が大きい夜勤勤務は月に4回程度にしてもらえるようにお願いをし、協力を得ています。
Q.学校生活や友人との間で困ったこと、苦労したことはありますでしょうか?そんな時、誰の助けを借りたことはありますか?工夫したことについて教えていただけますか?
手術をする前は学校まで歩いて通うことが出来ませんでしたので、家族に小学校まで送り迎えをしてもらっていました。休み時間も校庭で走り回ったりして遊ぶことはできなかったため、先生が教室で一緒に遊んでくれる友達はいませんか?と声かけしてくれ、読書やお絵描きなどで休み時間を過ごしていました。
Q.自身の進路選択の際、どのように決めてこられましたか?
自分で希望した進路、高校、大学、就職、転職などなどを進みました。
Q.現在の職業につかれて、楽しいことややりがいを教えてください。
助産師は、たくさんの新しい命の誕生に立ち会わせていただけるとても幸せな仕事です。私は自分の疾患の経験から、「いのち」の誕生が奇跡にあふれていることを伝えたい、また新しい「いのち」を育む方々を支えたいという思いから助産師という仕事を選びました。
病院での妊娠さんや産婦さんとの関わりの中で、赤ちゃんの誕生と向き合い、お母さんとなって元気に退院していく産婦さんの姿を見て、ほっとする毎日です。
Q.これから大人になる子どもたち、ご家族の方に応援メッセージをお願いいたします。
先天性心疾患で生まれたことが、「いのち」について考えるきっかけとなり、今の助産師という仕事につながっています。心疾患は私の個性の1つなのだと思っています。個性はみなさんにとっても大きな力となります。だから怖がらずに、一緒に前に進みましょう!