初めまして。理学療法士の髙橋和恵です。
理学療法士という言葉に、なじみがないかもしれませんが、リハビリと言えば何となくイメージが湧く方もいらっしゃると思います。
-理学療法士とは
私たち理学療法士は、ケガや病気などで身体に障害のある人や、障害の発生が予測される人に対して、座る・立つ・歩くなどの動作能力の回復や身体機能低下の予防や維持を目的に運動療法等の手段を用いて、自立した日常生活が送れるように支援する専門職です。
一言でいえば、動作の専門家といったところでしょうか。
私は元々、大人のリハビリを中心に実施していましたが、こうして子供に携わる機会を得て、日々奮闘しております。 退院するときには、1つでもできることを増やして帰ってもらえる事を目標にし、ご両親ともに、達成感を感じながら笑顔で退院してもらえるよう努めています。お子さんたちの成長していく過程を見ていると、私が教えてもらう事の方が多いようにも思います。
-お子さまの力を信じて回復のお手伝いと、発達を促すお手伝い
私がお子さんのご両親から受ける質問の多くは次のように、発達のことが中心です。
「なんか全然元気がなくて、しゃべらなくなっちゃったし、首も座らなくて・・・。手術前は、ようやくつかまり立ちができるようになってきたところだったんです。」「この子は、普通の子と比べてどれぐらい発達が遅いですか?」
手術をすると、重力に逆らう力が低下し、今までできた動作が難しくなってしまったり、環境のストレスから言葉を発せず感情を一時なくしてしまったり、泣き叫んで落ち着かなくなってしまう子がたくさんいます。そして、そんなお子さんを目の前にして涙するご両親をたくさん見てきました。
私にできることは、お子さんの力を信じて、回復するお手伝いをすることです。遊びを通して、手術前の生活に戻れるようにトレーニングすること。そして、ご両親にも協力していただきながら、発達を促していくことです。
-身体と心の成長にも個性を生かす
発達の遅れを心配されるご両親もたくさんおられますが、人にはみな得意、不得意があるように、身体と心の成長には個性があります。その個性を生かし、得意な事を伸ばしつ、苦手なところは、一つでもできるように支援していくことが大切だと思っています。
そして、何より無限の可能性を秘めているお子さん達の将来を見据えて、「心臓病があるからできない」ではなく、「こんな風に工夫したらできる」という可能性を伸ばしていけたらいいなと思っています。
治療や手術技術の向上により、心臓病のお子さんの90%が成人を迎えるといわれています。いずれはご両親から自立して社会に適応していけるように、そして、心臓病だからといって諦めるのではなく、工夫して生活の質がさらに向上できるように、ご両親とともに支援していければと思っております。