2018.01.08

心臓核医学検査 〜D-SPECT〜

画像診断検査には、レントゲン検査、MRI検査、CT検査、血管造影検査、核医学検査など様々な検査があります。こうした検査は、循環器の病気を正確に診断し、治療法を決定する上でとても重要です。
画像診断機器の進歩は、近年目覚ましく、患者さんの身体的な負担を大きく軽減しただけでなく、心臓の動きや血液の流れを鮮明に画像に映し出すことができるようになりました。
当院は、最新の核医学検査機器、D-SPECT(読み方、ディー・スペクト)を2012年、日本でいち早く導入しました。D-SPECTは、2016年現在でも、日本国内でまだ10台前後しか設置されていません。
当院では、D-SPECTを活用し、心臓病の早期発見や治療に積極的に取り組んでいます。

D-SPECTを使った画像診断検査について、当院の循環器内科部長・放射線科部長(兼任)の井口医師に聞きました。

――核医学検査とは、どのような検査ですか?

核医学検査は、微量の放射性医薬品(放射性同位元素)を体内に注射し、特別なカメラを使って心臓の中の血液の流れを映し出す検査です。レントゲン検査やCT検査が、心臓の筋肉や血管の形状を見る検査であるのに対して、核医学検査は、主に心臓の働き具合を調べる検査です。1回の撮影時間は多くの場合ほんの数分で済み、長くても15〜20分程度で終了します。ただし、検査の方法によっては、1回目の撮影から1~4時間後にもう1度撮影が必要です。

――心臓の核医学検査から、何が分かるのですか?

心臓は、全身に血液を送るポンプの役目を果たしています。心臓が正常に機能するためには、心臓のまわりを走る冠動脈と呼ばれる太い血管から、十分な量の酸素や栄養が心臓の筋肉に供給される必要があります。しかし、時にこれらの血管が詰まったり、狭くなったりして血液の流れが悪くなるために、病気を引き起こすことがあります。前者を「心筋梗塞」、後者を「狭心症」といいます。
核医学検査を行うと、心筋梗塞を起こした場所がどこなのか、また狭心症がどこで起きているのか、知ることができます。
当院が核医学検査で使用しているD-SPECTは、カメラの性能が画期的に進歩した機器です。従来の核医学検査のカメラに比べて、数倍から十倍程度、感度が向上しており、その結果、撮影時間が短くなりましたし、検査に必要な放射性医薬品の量も少なくできるようになりました。

――副作用はありませんか? 被曝量はどのくらいですか?

検査の内容や患者さんの体格にもよりますが、D-SPECTは、従来の核医学検査と比べて、被曝量を半分以下に抑えることが可能になっています。核医学検査は、名前に「核」とついているので、CT検査よりも被曝量の大きい検査なのでは、と思われるかもしれません。しかし、実際には核医学検査で使う放射性物質の量は、CT検査とそれと比べても、同等か、もしくはより少ない量です。しかも核医学検査は副作用がほとんどありませんので安心して受けていただけます。

D-SPECTでは、鮮明な画像を短時間で撮影できるようになりました。

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~プロフィール~
氏名:井口信雄
<略歴>
1962年東京生まれ。1987年山形大学医学部卒業。東京女子医大日本心臓血圧研究所循環器内科、東京都立府中病院循環器科を経て、2003年より榊原記念病院。医学博士、総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本核医学会専門医、日本心血管インターベンション学会名誉専門医。